高い技術力のある糸数城跡
糸数城跡は那覇空港から車で約30分の場所にあり、沖縄南部最大のグスクである。
観光地としてはややマイナーなスポットであり、どこか静かな雰囲気が漂う場所であるがそれがこのグスクのよさでもあるのだ。
慶良間諸島まで見渡せる標高180メートルの高台に位置するグスクであり、眺望のよさでも知られている。
玉城城跡の西の守り城として築かれたと言われており、琉球石灰岩で造られた野面積みと切石積みの城壁が長く続いている光景は、まるで万里の長城を彷彿とさせなんともインパクトのある風景である。
切石積みの部分が最も高いところは約6メートルもあり、ここからは奥武島をはじめ、太平洋と東シナ海を一望できる絶好のロケーションである。
特に「フエー(南)のアザナ」と呼ばれる見張り台は、当時の高い技術力の集大成といってもよいほど非常に高い石工技術を見ることができる。
糸数城跡は比較的シンプルな構造を持つグスクであり、西側は自然の断崖を利用し、東方に向いた城門は大きな切石で布積みされている。
発掘調査によって中国の陶磁器を中心に多数の遺物が発見されており、琉球国由来記に記されている「糸数城之殿」も城内に位置している。
1972年に国の指定史跡に登録されているが、世界遺産には登録されていないため、比較的観光客が少なくのんびりとした雰囲気が漂っている。
糸数城跡の創建
糸数城の創建についての詳細は分かっていないが、中山、南山、北山の三国が分立して政権争いをしていた三山分立時代の初期、14世紀前年の築城であると考えられている。
玉城城の玉城按司が14世紀前半に三男の糸数按司に命じて築城させた居城であると伝えられており、その後上間按司に攻められ落城している。
第二次世界大戦の沖縄戦によって一部は破壊されてしまったが、南部最大級のグスクと言われるだけあって城壁が比較的きれいに保存されている。
特に石垣の積み方や遺構の大部分が残されており、中世時代のグスクを今に伝える貴重な遺跡である。
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