創建の時期と琉球王国
首里城
首里城は小高い丘の上にあり、那覇の街並みを一望できるスポットである。
周囲は美しい曲線を描く城壁で囲まれており、正殿をはじめとする多くの歴史的建造物がある。
また首里城は政治の中心でありながらも、信仰の対象でもあった。
そのため城内にはたくさんの御嶽とよばれる拝所があり、戦後一時的に自由に出入りできた時期があったことから、多くの人が参拝に訪れていたという。
首里城の創建の詳細について明らかとなっていないが、琉球王国より前の三山時代には、中山の城として利用されていたと推測される。
勝連城や中城城などのいわゆるグスクが造られ13世紀〜14世紀頃には、すでに完成していたものと考えられている。
尚巴志が三山を統一して琉球王国が誕生すると、首里城は王府の城として利用されるようになっていった。
他のグスクは首里城との戦いに負けたことから滅んでいったが、首里城はグスクを残しながらも、琉球王国の中心的な存在として発展を遂げていったのである。
つまり首里城の歴史は、琉球王国の歴史そのものである。
琉球王国は1429年から1879年、約450年もの間繁栄をして王国である。
中国や朝鮮との貿易を盛んに行い、経済、政治、文化、外交の中心となっていたのが首里城である。
2000年(平成12年)12月には、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されている。
焼失と再建を繰り返してきた歴史
琉球王国時代において一度だけ政権交代をしているが、首里城はそのまま王府の城として使われた。
現在見られる首里城は再建であり、琉球王国時代から沖縄戦まで、4度の火災によって焼失している。
最初の焼失は1453年に第一尚氏の後に発生した王権争いで、完全に破壊されている。
二度目の火災は、1660年で再建には約11年かかったことが記録されており、その後も1709年に正殿などの一部が焼失している。
そして1945年に沖縄戦によって壊滅的な被害を受けた。
焼失する度に問題となっていたのが、木材の調達である。
時には薩摩藩から数万本以上もの木材を提供してもらったり、北部に植林をしていたこともあったという。
現在見ることができる首里城は、3度目の火災の後、1715年からから1945年までの構造をもとに再建されたものである。
琉球王国後の首里城
明治政府によって首里城は琉球処分されると、首里城から国王が追放され、沖縄県としての歴史を歩むこととなる。
首里城は日本陸軍の拠点となったり、学校として利用されていたこともあった。
しかしながら王府でなくなった首里城は、急速に老朽化が進んでいった。
昭和初期には大規模な修理が行われたが、1945年に沖縄戦によって壊滅的な被害を受けている。
その際琉球王国時代の文書や宝物なども焼失しており、一部はアメリカ軍によって略奪されたものもあるが、後に所在が明らかとなり返還されたものもある。
首里城の再建
首里城は沖縄にとってシンボルであり、歴史そのものといっても過言ではない。
戦後の早い段階から、その復元への思いは沖縄県民の悲願であった。
1958年に首里城のシンボルである守礼門が再建され、円覚寺、歓会門などが再建された。
また戦後、首里城跡に琉球大学が置かれていたが大学が移転したことにより、1980年代ことから一層復元工事が進んでいった。
昭和初期の記録、写真、文書などをもとに、当時の建築技術の復元を進めたが、史料にないものもあり、時には当時を知る老人などに話を聞くこともあったという。
1992年には、正殿を中心とする建築物が再建され、首里城公園が開園し、今では一大観光地として、注目を浴びている。
また2002年にはゆいレールの開通によって、那覇空港からダイレクトにアクセスできるようになった。
関連ページ
- 450年続いた琉球王国
- 国家的な祭事が行われた斎場御嶽
- 王府から特別の扱いを受けた普天満宮
- 琉球王家の別邸識名園
- 聖地を巡礼する東御廻り
- 勝連城跡とその繁栄
- 首里城のシンボル・守礼門
- 三山時代と琉球王国の誕生
- 島津氏の琉球侵略
- 日本の道百選・石畳道の歩み
- 中城城跡の歴史
- 今帰仁城跡の歴史
- 古くから人が住み着いた伊平屋島の歴史
- 金武観音寺の歴史
- 首里城の「龍潭」と「円鑑池」
- 座喜味城跡の歴史
- 琉球王国時代と貿易国家
- 末吉宮の歴史
- 園比屋武御嶽石門の歴史
- 佐敷グスクと尚巴志
- 南山城跡と南山王
- 知念城跡と知念按司
- 南部最大のグスク・糸数城跡
- 琉球王国の身分序列「位階」
- 第二尚氏王統の墓・玉陵
- 運天港の歴史
- 沖宮の歴史
- 識名宮の歴史
- 綾門大道の歴史
- 円覚寺跡の歴史
- 琉球王府の菩提寺・天界寺
- 首里界隈の川「カー」
- 琉球王家ゆかりのエリア「旧崎山村」
- 琉球王国時代の「三平等」と「首里殿内跡」
- 首里城正殿の歴史
- 首里城の御庭の歴史
- 江戸幕府への使節団「江戸上り」
- 沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」
- 琉球王国の再建と羽地朝秀
- 久米島の宇江城城跡
- 第一尚氏王統と志魯・布里の乱
- 名護城跡の歴史
- 自然に囲まれた安慶名城跡
- 伊是名城跡と伊是名玉御殿