沖縄でもっとも高い場所にある宇江城城跡

宇江城城跡は沖縄本島から西へ約100キロにある久米島にあるグスクであり、沖縄県のグスクの中でもっとも高い場所にある城跡である。

 

標高310メートルの宇江城岳の山頂にあり、海、山、田園風景、集落など久米島全体を一望できるほどの眺望のよさが魅力的な場所でもある。

 

天候が良ければ粟国島、渡名喜島、沖縄本島も一望でき、まさに観光客から人気のスポットとなっている。

 

また梅雨の時期は霧が発生して、雲海を見ることもできる。

 

ここ宇江城城跡は琉球王国時代において、沖縄でもっとも高い場所にある城跡であったことから、中国へ行っていた唐船が戻ってきてはじめに見えてくるのがここ久米島で、松明を焚いて船の戻りを慶良間の遠見大につたえ、さらにそれを今度は首里城まで伝えていたという。

 

宇江城城跡の築城年代についてはっきりとしたことは分かっていないものの、伊敷索按司(ちなはあじ)の長男である久米中城(くめなかぐすく)按司が築いたとされる。

 

そして1510年、第二尚氏尚真王の時代に琉球統一の過程で火攻めに遭って滅ぼされたと伝わる。

 

山頂から東に一の郭、そこから少し下がったところにニの郭、さらにその下に三の郭があり、多数の腰曲輪群と平場群を備えた堅固な山城である。

 

城壁の石積みは、一の郭の部分に珊瑚石灰岩の切石が見られるが、それ以外の場所については周辺で採れる板状の輝石安山岩(きせきあんざんがん)を使っている。

 

まさに沖縄のグスク時代を今に伝える貴重なスポットである。

宇江城城跡の発掘調査

宇江城城跡からは、一の郭やニの郭を中心に青磁の碗・皿・酒会壷などのたくさんの中国輸入陶磁器の欠片が出土しており、現在も発掘調査が進められている。

 

また調査の結果、建物跡もたくさん見られることから、中国と活発に貿易が行われていたころの様子を伺い知ることができる。

 

戦前までは城門なども残されていたが現在では地形部分のみを残すかたちとなっている。

 

2009年(平成21年)に、国の史跡に指定され、今では久米島を代表する観光地として親しまれている。

 

現在では駐車場や遊歩道なども整備され、山頂まで車でアクセスできるようになり、とても便利に足を運べるようになっている。