沖縄のお祭りに登場する旗頭

旗頭とは沖縄中南部のお祭りによく登場するもので、村のシンボルであり守り神のような存在である。

 

那覇ではエイサーや大綱引きなどイベントなどに登場し、全島旗頭フェスティバルなども行われる。

 

綱引きは琉球王国時代に首里を中心に厄払いや疫病退散など祈願するお祭りとして始められたものであり、現在では五穀豊穣や海上安全などを祈願する性格を持つ。

 

国際通りで秋に開催される大綱引きは、沖縄各地から約15基の旗頭が集まり地元の人たちはもちろん、これを楽しみにやってくる県外の人も多い。

 

旗頭はその地域の若い男が衣装である黒いムムヌチハンタに纏い、掛け声をかけ汗を流しながらも、どこか軽快に上下に持ち上げて練り歩く様子はとても勇壮である。

 

この旗頭に選ばれることは古来からとても誇り高きことと言われており、そのかっこよい姿に結婚の申し込みも殺到したほどであったという。

 

旗頭は当日に向けて必死に練習を繰り返し行い、基本的に旗頭は一人で持ち上げ、旗頭を倒してしまえば「男子一生の恥、村の末代までの恥」とも言われたこともあった。

旗頭の構成とその見どころ

旗頭の見どころとなるのが我栄(ガーエー)と呼ばれるもので、これは旗頭の競演のことである。

 

実際に勝負がつくものではないが士気を上げ、互いの旗頭を競い合うものである。

 

地域によっては「アワワ」や「サーサーサー」などと声を掛け合い、十数名ずつ一団となって踊り回る地域もある。

 

また見物客たちも一緒になって、声を掛ける姿はとても印象的である。

 

巨大な旗の上に様々な装飾が施された「灯籠」が、旗頭の頭にのっている光景はとてもインパクトがある。

 

灯籠は「トゥールー」と呼ばれ、お祭りの時以外は公民館などの保管されている。

 

間近でみるとかなりの大きさがあり、旗頭は通常は2つが対になっている。

 

地域によって旗に書かれる文字や灯籠はそれぞれ異なる装飾が施されており、その個性を楽しむことも旗頭の魅力でもある。

 

旗頭は地元の人や青年団による手作りで、旗には「旗字」とよばれる文字が施され、それぞれの地域によって文句や字体は決められており一筆書きで書くことが習わしである。

 

それを読み解くことができるのは、教養が問われるとも言われており、歴史に関係している言葉やめでたい言葉、さらには願い、地域のシンボル、精神論などが込められているものもある。

 

旗頭の総重量は40〜60キロにも及び、その高さは7〜10メートルを誇る。

 

旗頭に欠かせない楽隊は「金鼓(ちんく)」と呼ばれ、通常10〜50名ほどで構成されており、ボラ(法螺貝)、ドラ鐘打ち、太鼓打ちなどとその役割が分かれている。