八重山地方独特の行事・アンガマ

アンガマとは八重山地方に伝わる儀礼的集団芸能の一つであり、旧盆の頃になるとどこからともなく太鼓、笛、三味線、ホーイホイという掛け声など賑やかな音とともに、念仏を唱えながら踊る集団を見かけるが、これこそがアンガマご一行である。

 

これは八重山地方のみに伝わる旧盆の行事で、また同じ八重山地方でもまた地域によってアンガマの特徴が少しずつ異なる。

 

もともと士族の間のみで行われていた行事であったが、明治以降になって一般庶民の間にも広まっていったのである。

 

アンガマにはあの世からの使者であり祖先を表わす「ウシュマイ」というお爺さんと、「ウミー」というお婆さんが、花笠を被った「花子(ファーマー))と呼ばれる2人の子孫を連れて現世に現れ、家々を訪問する八重山地方独特のものである。

 

彼らは独特のお面をつけたり顔を布で覆ったりしているが、これはこの世の人ではないから仮装をしなければならないのである。

 

これも地域によってそのスタイルは様々であり、場所によってはサングラスをつけることもある。

 

ウシュマイとウミーは基本的に青年会のメンバーであるが、誰もがなれるというわけではなくその地域の方言をしゃべることができることが条件になる。

アンガマご一行の様子

ウシュマイとウミーはお盆の夜に招待された家々を周り、お仏壇の前でまずはご先祖の御位牌を拝む。

 

そしてその家の人から食べ物やお酒でおもてなしをしてもらい、アンガマを見に集まってきた人の前で歌や念仏踊り(ニンブジャー)を披露したり、ご先祖の話を語って聞かせ先祖を供養するものである。

 

ウシュマイとウミーは、あの世のことを尋ねられたら珍問答をしなければならない習わしがあり、少しひねった面白い内容で見物客たちを笑わせなければならない。

 

ウシュマイとウミーは裏声で独特の方言交じりだが、見ているだけでもなんとなく雰囲気が伝わってくるものだ。

 

そして最後は家の人も一緒にカチャーシーとよばれる踊りを踊ってお開きとなる。

 

ウシュマイとウミーは3日間のお盆の期間中は、一日に5軒前後の家を訪問するが、このタイムスケジュールは地元の新聞に住所や時間などが詳しく掲載される。

 

アンガマは非常にオープンな行事であり、一般の観光客や旅行者でも庭などから自由に見学ができるので、まさに沖縄の文化や伝統に触れることができる貴重な機会といえる。