琉球王国時代からの伝統菓子

琉球王国時代には、なかなか庶民は口にすることができなかった高級菓子があり、中国からの使者のおもてなしや重要な行事などに出されることが多かった。

 

その数は160以上にも及び、今でもその代表的なものは大切に継承されている。

 

限られた材料の中で見た目に対する美しさや保存にもこだわりが感じられるものも多いことがその特徴である。

 

そこで今回は、沖縄の代表的な伝統菓子をまとめてみた。

くんぺん

くんぺんとは琉球王家御用達の高級菓子のことで、琉球王国時代には冊封使の歓待料理や中国皇帝への献上品としても使われていた。

 

聞得大君(最高位の巫女)は黒胡麻餡のクンペンを供えていたという。

 

現在では沖縄の法事や冠婚葬祭などにも使われる焼き菓子であり、スーパーなどにも流通している。

 

見た目はとてもシンプルな色合いをしているが、ゴマとピーナッツの餡が入った素朴で上品な味わいが人気である。

 

材料は小麦粉、砂糖、卵黄、胡麻、ピーナッツのほか、砂糖を煮詰めた桔餅で、小麦粉と砂糖を元に衣を作り、餡を衣に包んで円形を作り火で焼いたものである。

桔餅

桔餅は「きっぱん」とよみ、18世紀ころ中国から伝えられた沖縄の伝統菓子である。

 

沖縄本島北部産の夏みかん「九年母」などの柑橘類の実を砂糖でじっくりと煮詰め、砂糖の衣で仕上げるお菓子である。

 

同じ種類のお菓子とトウガで煮込んだ冬瓜漬けなどもある。

 

大きさは直径5センチ程度あり、沖縄版の柚べしのようなもっちりとした食感で、仕上げに真っ白い砂糖で表面に覆っている。

花ぼうる

「花ぼうる」は琉球王朝内で親しまれていた日用茶菓子であり、沖縄の藤の花を模した焼き菓子で、見た目がとてもかわいらしい。

 

「花ボール」、「花ボーロ」、「花ぼうろ」ともよばれ、17世紀ころ九州などにポルトガルから伝来し、それが薩摩藩を経由して沖縄にも伝わったと考えられている。

 

かたいクッキーのような味わいで、職人の手によって一つ一つ丁寧に花模様の切り込みが入れられたまさに芸術品ともいうべき、巧みな技法が施されている。現在この「花ぼうる」の原型が残っているのは、沖縄のみと言われている。

 

ちぃるんこう

「ちぃるんこう」は琉球王府の中でも身分の高い人しか口にできなかった高級菓子である。

 

当時貴重だった卵黄と小麦粉を使った沖縄の蒸し菓子である。

 

油を一切使用しない生地を型に流しこみ、赤く染めた落花生や桔餅(ミカンの皮の砂糖漬け)を表面に飾り付けて、蒸しあげたものである。

 

卵黄の自然な黄色をしており見た目はカステラのようでもある。

 

桔餅を入れることで卵の生臭さがなくなり、まさに工夫がみられることもその特徴である。