沖縄赤瓦とその役割
沖縄は「台風銀座」と言われることもあるほど、夏になると台風が多く上陸するエリアである。
しかしそこは先人からの知恵を受け継ぎ、住宅の構造にはそれに対する備えや工夫も多くみられる。
その工夫の一つといえるのが「瓦」である。
沖縄を歩いているとよく赤い屋根の家を多く見かけるが、これは沖縄赤瓦や琉球赤瓦と言われ、沖縄産の赤い粘土瓦である。
瓦自体はグスク時代からすでに使われていた記録が残されているが、しかし琉球王府によって使用できるのは首里の士族の一部に制限されており、一般の庶民が使えるようになったのは明治時代に入ってからのことである。
沖縄赤瓦には主に2つの瓦が使われ、丸瓦は男瓦(ウーガーラ)、平瓦は女瓦(ミーガーラ)と呼ばれている。
瓦を葺く際には女瓦を並べ、そして左右の継ぎ目を覆うように男瓦を被せ、男瓦の側面と継ぎ目に漆喰をつけてしっかりと塗り固める。
単に瓦を並べただけでは台風などの強風に耐えることができないため、瓦を重ねることで屋根裏に雨水が漏れないように工夫がなされているのである。
また沖縄赤瓦は通気性にも優れており、湿気を守る役割も果たしており、夏の暑さをしのぐ効果もあるのだ。
見た目の美しさだけではなく、まさに台風と生きてきた先人の知恵がここにあるといえる。
台風から住宅を守るための工夫
備瀬のフクギ
また台風から住宅を守るために、住宅周辺や集落周辺に防風林としてフクギを植えていることも、沖縄地方によく見られる。
フクギは「幸福をもたらす木」として琉球王国時代からもたされた植物で、その代表と言えるのが「備瀬のフクギ」とよばれる美ら海水族館近くの昔ながらの集落で、フクギの合間に見え隠れする木漏れ日がとても美しいスポットだ。
また建物をサンゴ石の囲み、石垣がある住宅が多いことも特徴の一つである。
また沖縄の戸建ては建物が低いことも特徴の一つであり、今でこそビルもあるが古くからの民家は平屋建ても多い。
やはり面積が多ければ多いほど風を受ける面積が大きくなり、その分被害も大きくなってしまうから低い建物が多いのである。
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