泥を塗るお祭り
全身泥まみれの神様が集落を歩くパーントゥと呼ばれる、宮古島に伝わるお祭りがある。
この呼び名の語源は「パーン(食う)+ピトゥ(人)」が訛ったことから生まれた言葉であるという説がある。
このお祭りは年に一度、旧暦の9月初旬に2つの地区で行われ、地元の大人から子供、さらに観光客までもが泥まみれになるこのお祭りである。
1993年に国の重要無形民俗文化財にも登録されており、独特の雰囲気のあるお祭りである。
パーントゥとなった3体の神様が容赦なく、泥を塗り集落を練り歩く光景はなんともインパクトがある。
怖い形相に全身泥まみれの光景はこの世のものとは思えないほど姿で、一度見たら忘れられないものでありまさにこれこそがパーントゥの醍醐味でもある。
このお祭りは数百年前に恐ろしい顔をした仮面が流れついたことが起源といわれている。
全身泥まみれになるこの泥は、宮島小学校の東側にある「ンマリガー(産まれ泉)」と呼ばれる井戸の底から取ったもので、これはかつて産湯に使われていた水で独特の臭いがある。
泥が塗りたくられた体には、キャーンと呼ばれるツル草を巻き付けられている。
この3体の神様が、集落の人や見物客に泥を塗りたくって逃げ回る人たちに泥を塗りたくって歩くものである。
この泥を塗ることで悪霊を退散させると言われており、人だけではなく住宅や車などにも泥を塗る光景も見られる。
また健康祈願を意味しており、地元の人たちは泥をつけられても縁起事として笑顔を振る舞う。
時には3体の神様にお酒を振る舞ったり、食べ物を振る舞う地元の姿さえも見ることができる。
観光客とのトラブル
しかし近年このお祭りの意味を知らない観光客が、泥で洋服を汚されたなど苦情が相次いでおり、観光客がパーントゥを暴行する事件も発生しており主催側はその対応に苦慮している。
一時はお祭りの中止も検討されたがパーントゥの周囲には複数の付添人を配置し、催日を直前まで告知しないなどの対応をしている。
訪れる人も宮古島に古来から伝わる大切な伝統行事であるということを理解しておくことも、また大切であるといえる。
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