本土とは異なる正月料理

沖縄は約450年、琉球王国を歩んできた歴史があり、独自の文化を持っている。

 

大晦日には、骨付き肉の入っている「ソーキそば」を食べるのが正月前の習わしだ。

 

そしてもちろん、食生活においても、本土のいわゆる「おせち料理」とは異なるものを持っているのだ。

 

つまり正月料理は、沖縄の郷土料理でもあり、本土では馴染みのない食材や、見た目からではその食材が分からないことものを使われることも多い。

 

沖縄では豚がよく料理に使われており、「鳴声以外は全部食べる」とも言われるほどに、利用頻度が高く正月料理に欠かせない食材である。

 

また縁起物の食材をたくさん取り入れていることも、沖縄ならではの特徴である。

 

そこで今回は、沖縄の正月料理について、ご紹介していきたい。

モツが主役のお吸い物「中身汁」

沖縄でお祝いの席のお吸い物としてよく出されるのが「中身汁」と呼ばれるもので、豚のモツが使われている。

 

小麦粉、塩、酢などをつけて力を入れてこすり、水でしっかりと注いでいく。

 

そして沸騰したお湯に入れて下煮をしっかりと繰り返していき、鰹と椎茸の戻し汁で煮込んで完成となる。

 

モツの臭みがなく、あっさりとした味わいがその特徴である。

 

尚、沖縄ではお雑煮を食べる習慣があまりないことから、中身汁がその役割を果たすことも多いが中身汁にはお餅は入っていない。

縁起のよい昆布を使った料理「クーブイリチー」「クーブ巻き」

「クーブ」とは「昆布」、「イリチー」とは「炒め物」のことをさし、ヘルシーでミネラルが豊富な体に優しい料理である。

 

昆布は「よろこぶ」を象徴する縁起のよい食べ物として知られ、正月には欠かせないものである。

 

刻み昆布、こんにゃく、豚肉、油揚げ、シイタケなどを醤油、みりん、お酒、砂糖などで煮込んだものだ。

 

保存がきくのでお弁当のおかずとしても重宝されている。

 

また「クーブイリチー」と同じく、正月らしく昆布を使った料理に「クーブ巻き」とよばれるものがある。

 

昆布で白身魚を巻いて、 鰹だしで柔らかくなるまで煮るのが定番である。

炊き込みご飯「ジューシー」

沖縄の方言で炊き込みご飯を意味する「ジューシー」も、お正月に欠かせない伝統料理だ。

 

豚のゆで汁や昆布の戻し汁が決め手となり、豚肉、ニンジン、ヒジキ、シイタケなどを入れて、砂糖、醤油、みりん、酒などを使って炊き込む。

 

豚のゆで汁がコクを出してくれるので、見た目もおいしそうに見える。

 

沖縄のデザート「田芋でんがく」

沖縄ではお祝いの席や子孫繁栄などを願い食べられる、田芋でんがくとよばれるものがある。

 

田芋を砂糖、塩で煮込み、最後のしょうが汁を加えることもある。

 

自然の甘さが感じられるいわばデザート感覚の食べ物である。

宮中料理であった「花いか」

沖縄でよく食べられるもので、甲イカを茹でて熱いうちに食紅で染めていく、色鮮やかな料理である。

 

美しい切り込み模様を入れていき、料理の中にまさに華をもたらしてくれる。

 

食紅がアクセントとなって、他の料理を引き立たせてくれる。

 

沖縄の天ぷら

沖縄では本土ではあまり馴染みのない食材も、天ぷらとして親しまれている。

 

沖縄では衣を厚く揚げることがその特徴である。

 

その一つがモズクであり、海に囲まれた沖縄では「もずくの天ぷら」をよく見かける。

 

居酒屋の定番メニューでもあり、外はサクサク、中はふわっとした食感を楽しめる。

 

天つゆだけではなくソースをかけて食べることもある、いわゆるもずく酢とは異なる味わいなので、酢物が苦手な人でも楽しめる。

 

また沖縄でお馴染みのゴーヤー天ぷらも定番だ。

 

衣が厚めなので、ゴーヤーの苦味を感じることが少ない。

まとめ

沖縄では豚正月と言われることもあるほどに、豚肉をよく食材として利用する。

 

しかし全体的にヘルシーな味わいとなっているので、本土でよく言われる正月太りは少ないのかもしれない。