八重山地方に伝わる伝統行事・十六日祭

十六日祭とは、旧暦の1月16日に行われる八重山独特の伝統行事で、「グソウ(後世)」の正月と言われている。

 

旧暦の1月14日〜15日は「ソーグヮチグワァー(小正月)」といい、この日は生きている人の旧正月の終わりを意味しており、飾りつけなどもしまう日でもある。

 

この期間はあの世から神様がいらっしゃると言われており、先祖の墓参りは慎むことが一般的である。

 

そしてようやく小正月が終わった1月16日から、ようやく先祖のお墓参りが許される期間に入るというわけである。

 

八重山や宮古では旧盆と並ぶ重要な年間行事で、あの世のお正月をお祝いしながら先祖供養するものである。

 

この日に合わせて、県外に働きに出ている人は里帰りし、新聞は休刊になり、お店なども閉まってしまうほど、沖縄の人にとって欠かせない行事である。

 

旧暦に1月16日に合わせて行われるため、毎年曜日が変わってしまうため、当日は平日となってしまうこともある。

 

しかし会社自体を休みにしたり、午前中のみにしたりとすることも一般的なので、沖縄の人にとってはいかに重要な行事であるのかが分かる。

十六日祭の先祖供養

十六日祭の前に家族総出で墓掃除をしておくのが習わしである。

 

この時期になると小さい子どもから年配者まで、ほうきではいたり、雑草を抜いたり、枯れ木を伐採したりと、まさに気合に気合を入れて念入りに掃除をするのである。

 

そして当時は親族一同集まり、先祖のお墓に足を運び、霊を供養しながら近況を報告する。

 

ゴザを広げてお花、酒、重箱料理、お菓子、果物をお供えして、線香を焚き上げる。

 

そしてご先祖たちが、あの世でお金に困ることがないように「うちかび」と呼ばれるお金を燃やすのである。

 

そしてお酒を飲み、料理を食べながらお墓の前で故人の話などをし、さらに三味線なども登場して賑やかに過ごすことが一般的である。

 

本土では墓場では静かに過ごすという考えがあるが、沖縄ではこのように親族一同で賑やかに墓場で過ごし、先祖供養はもちろん一つのコミニュケーションの場所でもある。

 

それが幼いころから楽しみの一つであったという人も多く、沖縄の人にとって「お墓=怖い場所」という概念がないのも、このような行事が背景に挙げられるのかもしれない。