沖縄でよく使われる「なんくるないさー」

沖縄の方言で「なんくるないさー」という言葉が良く使われる。

 

「なんくる」は「なんとか」、「ないさ」は「なるさ」で、これは標準語の「何とかなるさ」という意味とほぼ同じ意味を持つといわれている。

 

「難しいことを考えずに気楽に考えようよ!」とか、「くよくよ考えていたって仕方がないからどうにかなるでしょう!」というように、現代では楽観的な意味でとらえられていることが多いのだ。

 

確かに悩んでも仕方がないときや、くよくよと考えているときに、この言葉を聞くと肩の荷が下りてホッとできる瞬間もあるのかもしれない。

 

しかしながら「なんくるないさー」にはもっと深い意味があるのである。

 

そこで今回は、この沖縄の方言、「なんくるないさー」について考えていきたい。

「なんくるないさー」の本来の意義

「なんくるないさー」は、もともと、「真(まくとぅ)そーけーなんくるないさ」という定型句から構成された言葉である。

 

「(まくとぅ)そーけー」は、正しいことや真実を貫くこと、「なんくるないさ」は自然とあるべく様に落ち着くこと、何とか道が開けることを意味している。

 

つまり「人として真実を貫き、正しい道を歩んで努力をしていれば、道は開け良い日が訪れる」という意味を持っているのである。

 

これは前述にあるような楽観的な意味ではないことが分かる。

 

日々精進することによって、明るい未来がやってくるという、深い意味があるのである。

 

今ではすっかり「なんとかなるさ!」と意味合いにとらえがちであるが、もともとも意味を知ると、そう簡単には口ずさめない、重みのある言葉であることが分かる。

 

まずは自分自身がしかるべくことを行い、ベストを尽くした上での「なんくるないさー」なのである。

「なんくるないさー」と同意義の言葉

一説によれば、南宋初期の儒学者であった胡寅が「読史管見」の中で使った「尽人事而待天命=人事を尽くして天命を待つ」や、英語のことわざにある「Do the likeliest, and God will do the best.」の「もっともふさわしいことをしなさい。そうすれば神も最善を尽くしてくれる」と同意義であると考えられている。

 

このような深い意義を知ると、今日から「なんくるないさー」という言葉を使う瞬間を、選ぶようになるに違いない。