出産当日の儀式

沖縄はとにかく行事が多いことで知られているが、子供が誕生してからの一週間の間、お祝いや儀式なども多いものである。

 

今ではその形態が変化してほとんど行われなくなったり、簡略化されているものもあるが、沖縄独自の儀式があることも事実である。

 

赤ちゃんが誕生した日には、「カーウリー(川下り)」とよばれる行事が行われる。

 

孫の誕生を喜ぶ祖母はヒヌカン(火の神)やトートーメー(位牌)にお祈りを捧げ、そして「ウブガー(産川)」やあるいは「村ガー(村の川)」に下りていき、「ウブミジ(産水)」を汲んでくるのである。

 

そのウブミジで赤ちゃんの額を3回撫でるが、これを「ウビナディ(水撫で)」といい、これは再生や新生を意味している。

 

そして最後に赤ちゃんを「ウブミジ(産水)」につけ、この一連の儀礼を「カーウリー(川下り)」と呼ぶのである。

 

これはまだ自宅出産が行われていたころ行われていたもので、今では少なくなってきているが、今でも地元の人が「ウブミジ(産水)」を汲んだ場所が残されている地域もある。

 

また赤ちゃんが誕生すると子供の健やかな成長とお祝いを兼ねて「ウバギー」とよばれる産飯を炊く。

 

ウハギーとは通常白米と汁物を意味しており、炊いたウバギーはヒヌカン(火の神様)とトートーメー(祖霊)とお供えをヌカン(火の神)におそなえするのに対して、新しく家族の一員として認めてもらい、ご先祖に守っていただくようお祈りするものである。

誕生してから7日目まで

沖縄では出産日から7日目までに「ナージキ」を行うが、これはいわゆる命名式である。

 

そのときにつける名前は正式なものではなく、ワラビナー(童名)で戸籍上の名前ではない。

 

近所などで呼ばれる通称で、祖母が中心となって取り仕切ることが一般的である。

 

ヒヌカン(火の神)とトートーメー(位牌)にお供えものをして、最後にワラビナーの報告をするのである。

 

またワラビナーは長男には祖父、長女には祖母、次男以下には母方の祖父母と同じ名前が付けられることが多かったという。

 

また誕生してから7日目までに「マンサン(満散)」とよばれる誕生の終わりを意味するお祝いがある。

 

ヒヌカン(火の神)やトートーメー(祖霊)にお酒やごちそうなどをお供えして、家族や親せき一同集まりみんなで「マンサンユーエー」とよばれるお祝いをするのである。

 

いわゆる赤ちゃんのお披露目会で、お赤飯を炊き、ごちそうを食べる。

 

今ではマンサンユーエーは、誕生してから約1ヶ月後に行われることが多い。