本土とは少し異なる沖縄の葬式
沖縄の葬式は、本土と同じような仏式と沖縄に伝わる伝統式があり、それを合わせたもので行われることが多い。
ただ本土と異なる点といえば、一般の人でも訃報を新聞に掲載することである。
本土では一般的には著名人、有名人、財界人などが多いが、沖縄では一般の人のコーナーが設けられている。
また喪主や日時、葬儀場などの詳細にとどまらず、子どもや孫、兄弟の氏名が列挙されることも多い。
ちなみに沖縄の新聞に掲載をした場合の相場は、10万円前後である。
また葬儀の前に火葬を行う「前火葬」が多く、葬儀後に火葬をすることが多い本土とは異なる。
また納骨も葬儀の後すぐ行うことが一般的である。
葬儀の翌日にはすぐ、「ナーチャミー」と呼ばれる墓参りを行う。
その後四十九日まで毎週、スーコーとよばれる法事を営む。
また死者や死に対する念が強い沖縄では、妊婦とその夫は臨終に立ち会わない方がよいと考えられており、葬儀の参列などもしない方がよいと考えられている。
檀家制度がない!
一般的には仏式の葬儀が多い日本であるが、これは江戸時代の「寺請け制度」が原点である。
一方沖縄は江戸幕府には属さず、琉球王国として独立した歴史があり、キリスト教を禁教とするいわゆる檀家制度とよばれるものがないのである。
つまり檀家制度が根付いていないため、菩薩寺という概念もないのだ。
そのため基本的にはどのお寺に依頼してもよいとされており、葬儀や告別式に僧侶を読んでお経をあげてもらう。
またユタとよばれる沖縄の神女を呼ぶこともある。
仏教とユタとは一見すると相入れない面もあるが、根底にある信仰を大切にしているようである。
北枕とお供え物
遺体は仏間や座敷の北枕(ニシマックワ)に安置するが、間取りによって北枕が難しい場合は、西枕でもよいとされている。
おくやみの枕飾りには、香炉、線香、ろうそく、酒、一膳飯(チャーシウブン)、団子(ダーク)、お茶(ウチャートー)、酒、水などをお供えするが、中でも珍しいのが豚の三枚肉をお供えすることであり、沖縄独特の風習といえる。
沖縄では豚肉を使った料理が多く、たんぱく質を摂取する貴重な食べ物という考えがある。
その他にも饅頭や味噌などをお供えすることもある。
また沖縄の棺は長さが短く、深い形式のものがある。
これは納棺する際、膝をすこしだけ立てて納棺することからきているといわれている。
大きいお墓
沖縄のお墓は、本土と比べるととても大きく、本土の人が見えるととてもお墓とは思えないものもある。
屋根つきの「亀甲墓」「破風墓」が数多く残されており、内部は8畳ほどの広さがあり、家を建てるときと同じようにしっかりと基礎を作り、まるで家を建てるようにしっかりと工事をしていくのである。
沖縄のお墓は、村単位や一族単位の共同墓であることも、規模が大きいことの理由の一つである。
その他の理由には、もともと土葬をしていた際に体を自然に白骨化させる「風葬」や、遺骨を定期的に洗う「洗骨」とよばれる独特の風習があった。
今ではすべて火葬されているが、お墓だけは古来からの形式が受け継がれている。
また沖縄のお墓には、墓の左側に守護神がいると信じられている。
これをヒジャイガミ(左神) と言い「墓地を守護する土地の神」と言われている。
つまり墓の左(向かって右側)を神座としており、墓参りを訪れたら、墓石に手を合わせる前にまずはそこを先に拝むことが一般的である。