先祖供養をするお盆

沖縄のお盆は、他の地域とは少し異なる独特のスタイルがあり、お盆は沖縄の人にとって、とても重要な行事である。

 

沖縄では遠くに先祖をとても大切にする儀式や伝統があり、ご先祖を自分の家に招き、家族と子孫と過ごす先祖供養である。

 

沖縄では人が亡くなると、神様となって空から見守って下さると考えられている。

 

このように先祖に対する思いとともに、豊作に感謝し、来年の豊作を祈願する行事でもあるのだ。

 

沖縄の行事は旧暦で行われることが多く、お盆は旧暦の7月13日〜15日、地域によっては16日までとなることもある。

 

お盆は13日をウンケー(お迎え)、14日をナカヌヒー(中の日)、15日をウークイ(お送り)といい、それぞれしきたりや伝統がある。

 

またお盆の時期には本土の人たちはレジャーや旅行を計画することも多いが、沖縄では「お盆の間は海に行ってはいけない」という言い伝えがある。

 

その理由に、ご先祖様は海からやってきて、海をわたってあの世へ帰ると考えられており、海へ行けば一緒のあの世に連れていかれてしまうと考えているのだ。

 

そこで今回は、そんな沖縄式のお盆の過ごし方についてご紹介していきたい。

ウンケー(お迎え)の過ごし方

お盆を迎える前の7月7日(七夕)に、お墓を掃除してお供えもの、線香、花などをあげ、いわばご先祖を迎えるための準備を行う。

 

そしてウンケー(お迎え)では、先祖をお迎えするために夕方行われる。

 

位牌を清め、仏壇に花や提灯を飾り、ろうそく、線香、ウチカビ(あの世のお金)、お酒などをお供えする。

 

そして沖縄らしいものといえば、各家庭によって少しずつ味やスタイルは異なるものの、ウンケージューシーとよばれる沖縄の炊き込みご飯や、ナマシグヮーとよばれる酢物だ。

 

また「グーサンウ―ジ」とよばれるサトウキビの杖もお供えする。

 

これは、ご先祖様は徒歩でいらっしゃるので、あの世に帰るときには転ばないように、人の杖と同じくらいの高さのものを用意するものである。

 

またスイカ、りんご、みかんなどの果物もお供えするが、3日間お供えするので熟していないものを用意するのがよいといわれている。

 

またウンケーでは、ウンケージューシー(沖縄の炊き込みご飯)やナマシグヮー(酢物)をいただき、ご先祖様がいらっしゃるお盆の間は同じように3度の食事を用意して過ごす。

 

また食事をするときは絶えず線香に火を灯しておくようにする。

ナカヌヒー(中の日)の過ごし方

ナカヌヒー(中の日)は、親戚をまわってお線香をあげにいく。

 

また親戚が訪れる家では食事のほかにも、間食としてお菓子や冷やしソーメンなどを差し出してもてなすことも多い。

 

ただ親戚を何軒もまわっていると、ときには食べ切れないこともあるという。

ウークイ(お送り)の過ごし方

お盆の最終日にあたるウークイ(お送り)では、こちらにきていたご先祖様たちが帰る日であり、精霊をお送りする日である。

 

ただし早く送ることは失礼にあたると考えられており、午前0時を過ぎた遅い時間に送りをする習わしがある。

 

ウークイであの世のお金を意味するウチカビを燃やす。

 

集まってきた親戚たちは、みなこのウチカビを持ってきて、ご先祖様たちがあの世でお金に困ることがないようにとの思いを込めて行うものだ。

 

つまり親戚が多ければたくさんのウチカビが集まり、それだけご先祖様たちはあの世で裕福に暮らせるというわけである。

 

またウチカビだけでなく、カニバーキとよばれる入れ物を用意して、線香や仏壇にお供えしたいろいろなもの一切れずつを取り、 仏壇のお花を入れていく。

 

そしてそれを門口に置き、西の方向に「ヤーンメンソーチクミソーリー」すなわし「来年もまた来てください」といって、精霊をお送りするのである。

 

このようにお盆の過ごし方は沖縄独特のものであるが、これは琉球王国時代から受け継がれてきた大切なものであり、今でも多くの家庭がこのようにして過ごすのである。