国際通りから徒歩圏内にある波上宮
波上宮の鳥居
波上宮は那覇市若狭にある神社で、中心部の国際通りから徒歩でアクセスできる神社だ。
琉球王国において、王府から特別な扱いを受けた琉球八社の一つであり、中でも最高位として古来から特別な存在として、一目置かれた神社である。
那覇港の高台にあり、海がすぐ目の前の崖の上に位置している。
祭神は伊弉冉尊、速玉男尊、事解男尊、海に近いことから海上安全や豊漁、厄除け、家内安全、病気平癒の祈願、心願成就、商売繁盛、縁結びの神として信仰を集めており、特に初詣のシーズンになると、毎年多くの参拝客で賑わいをみせる。
波上宮の御鎮座伝説には、「往昔、南風原に崎山の里主なる者があって、毎日釣りをしていたが、ある日、彼は海浜で不思議な"ものを言う石"を得た。以後、彼はこの石に祈って豊漁を得ることが出来た」と記載があり、古来から崇められた存在であった。
近くには波の上ビーチとよばれる人工のビーチがあり、那覇の中心にあるロケーションのよさが人気を集めている。
波上宮の創建とその歴史
波上宮
波上宮の創建について詳しいことは明らかになっていないが、「波上宮略記」によると海の遥か彼方には「ニライカナイ」とよばれる理想郷があると信じられており、そこに向けて祈りを捧げていた聖地こそが、この神社が鎮座する崖壁であった伝わる。
海に近い場所にあることから、居留者たちが自身の住んでいる国の方向へ祈りを捧げる「ネグミ拝み」と呼ばれるお祭りを、近年まで行っていた。
創建時期については、琉球八社は真言宗寺院に併設されていたことから、琉球の国王の一人である察度王の時代、1368年の創建ではないかと考えられている。
琉球王国時代において、諸外国との貿易が盛んに行われようになると、この波上宮はとても重要な意味を持つようになる。
那覇港に出入りする船は、後悔安全と平穏を波上宮のある崖へ向けて、祈りを捧げていたという。
また人々はもちろん、琉球王府の信仰も厚く、毎年正月になると国王自らも国家平安や安泰を祈るべく足を運んでいた。
まさにここに琉球八社の最高位と言われる所以があるのである。
明治期以降の歴史
明治時代に入ると近代社格制度によって、官幣小社へ列格され、1890年(明治23年)の5月17日に御鎮座告祭式が行われている。
しかし明治期に整備された社殿も、太平洋戦によって被災をしてしまい、1953年(昭和28年)に本殿と社務所、1961年(昭和36年)に拝殿が再建されている。
そして平成の時代に入ると、平成の御造営により本殿と拝殿を再建し、今の姿に生まれて変わっている。
2006年(平成18年)には、古来から人々の信仰の場所及び景勝地として親しまれてきたことを理由に、「波上(なんみん)」として那覇市の史跡・名勝文化財へ指定されている。