島民から古くから大切にされてきた御嶽

宮古島の中心部から少し離れた場所に「漲水御嶽(ハリミズウタギ)」とよばれる御嶽があり、首里王府公認の御嶽として崇拝されてきた場所である。

 

うっそうとした緑に囲まれており、地元の人からは「ツカサヤー」と呼ばれ古来から大切にされてきた場所である。

 

ここは宮古の創生神話の神が祀られており、「古意角(コイツヌ)」と「姑依玉(コイタマ)」とよばれる神々である。

 

まさにここは宮古島の原点とも言える場所であり、宮古島に足を運んだら、まずはここに足を運んでご挨拶をするという人も多い。

 

沖縄の御嶽には男子禁制のところが多いが、ここ漲水御嶽は男性でも参拝が許されている場所である。

 

地元の人だけではなく、観光客も受け入れてくれる神様と言われているので、ぜひ宮古島を訪れたら足を運びたいスポットである。

漲水御嶽に伝わる伝説

漲水御嶽は16世紀頃、仲宗根豊見親玄雅という宮古島の首長が築いたと伝えられている。

 

18世紀の中頃の宮古島の神話や伝説をまとめた書物「宮古島記事仕次」によると、地上の守護神となることを「古意角(コイツヌ)」が天帝に願い出ると、天帝はこれを喜んで受け入れ、宮古島を作ったといわれている。

 

そして天帝に命じられ、「古意角(コイツヌ)」と「姑依玉(コイタマ)」は漲水御嶽に降臨しいろいろな生物を生み出し、多くの神々を育てて天に帰っていったと伝えられている。

 

また漲水御嶽にはもう一つ伝説が伝えられており、当時若い娘が結婚前に妊娠をしてしまい、両親が問いただすと名も知らぬ男が現れてくるだけだといい、今度現れたときには長い糸をつけた針と男の頭に指すようにいいつけたのである。

 

そして男が現れたときに針を男の頭に指し、その糸をたどっていくと漲水御嶽の中の洞窟にいる大蛇を見つけるのである。

 

そして娘の夢の中に若い男が現れ、「私は島を作った古意角である。お前は守護神である3人の娘を生む。娘たちが3歳になったら漲水御嶽に参れ」と告げたのである。

 

そして娘たちが3歳になったときに漲水御嶽に行くと、大蛇が現れて娘たちに巻き付き御嶽の中に姿を消していったという。