古くから信仰の対象とされてきた伊江島のタッチュー
頂上からの景色
伊江島は沖縄北部・本部港から船で約30分、本部半島の沖合9キロに浮かぶ島である。
伊江島のシンボルともいえるのが、タッチューとよばれる城山で、伊江島唯一の山である。
タッチューは島が形成されるよりも7千万年も古いオフスクレープ現象とよばれるものによって形成された。
これは古い岩盤が新しい岩盤に潜りこむ中で一部が剥がれて新しい岩盤の上に乗る現象によって作られるものであり、世界で見ても伊江島のみに見ることができるものである。
赤色のチャートからできた岩山であり、烏帽子を思わせる独特な形をしていることから古くから近海を航行する船が目印とした山である。
タッチューは標高172メートルの山であり、天気やよい日には沖縄本島や東シナ海からもタッチューがとてもよく見える。
島民以外は「タッチュー」という呼び名で呼ぶことが多いが、島民は一般に「グスク」もしくは「グスクヤマ」と呼ぶ。
島民からは古くから信仰の対象としてきた島であり、沖縄のグスク時代の遺跡の一つで聖地でもあるのだ。
麓からは登山道が整備されており、頂上までは約15分の道のりだ。
後半はかなり急な岩場登っていくが、頂上からは360度大パノラマを見渡すことができ絶景スポットとしても知られており、沖縄八景の一位にも選ばれたことがある。
頂上には「力タンナーパ足跡の伝説」と書かれた、岩がある。
説明書きによると「その昔伊江島にタンナーパという力持ちの大男おり、隣村との戦いでタンナーパは城山を登り攻めてきた敵に大きな石を投げつけて退散させ、その時力いっぱい足を踏ん張ったために足跡が残った」とある。
タッチューの御嶽
城山御嶽
城山の登山入り口には城山御嶽があり、鳥居のある神社で1969年に作られたものである。
城山の中腹にある城御嶽にはヨシアゲ森(神名ヨーセジ)と、伊江セイ森(神名アマミヤガナシ)の二神のオイベが隣合わせに祀られ、航海の安全と人々の健康、豊作を祈願する拝所となっている。
またイエジマチャセンシダなどの植物の自生地としても知られる。
しかし山肌には去る大戦で打ち込まれた弾痕やくぼみが多数見られ、戦争の悲惨さを今に伝えるスポットともなっている。